Lesson2-3 酵素の性質を知る

酵素栄養学では、「酵素とは、生命維持のために必要不可欠なものであり、酵素が尽きたとき、私たちの命も尽きる」とされています。酵素は目には見えませんが、私たちが今行っている「瞬き」や「手を動かすこと」「心臓の動き」も全て、酵素が媒介することで成り立っていることが科学的に証明されています。

話題のキーワードとしてよく目にするけれど、いまいちよくわからない「酵素」。その性質を知り、生活にうまく取り入れていきましょう。

酵素の特徴

美腸をつくるために必要なのは、「消化に負担をかけない」食スタイルだとここまでで学習してきました。そのために欠かせないのは、食物酵素がたっぷりの食事です。食物酵素が含まれているのは生の食材ですが、これらはそれ自体の酵素により消化が進み、また水分を多く含むため、胃での消化負担が最小限に抑えられます。これにより、使用する消化酵素の量も最小限ですむのです。

ここでは、酵素を食事として上手に取り入れるために押さええておくべき酵素の性質を学習しましょう。

酵素の性質①熱に弱い

酵素は熱に弱いという特徴があり、基本的に48℃以上の加熱で変性します。そのため、加熱食が多くなると酵素不足になりがちです。酵素がたっぷりの食事は、新鮮な食べ物、生の食べ物です。

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この酵素の特性を活かして、基本的には生食、加熱する場合も48℃以下での調理法がRaw Foodです。(現在酵素は1万種類以上見つかっており、発酵食品の酵素にはもう少し変性温度が高いものもあります。(約70℃))

食物酵素をたっぷり含んだ食べ物は、それ自体の酵素の働きにより、胃での消化作業は最小限ですみ、短時間でスムーズに胃から腸に向かいます。消化に負担がからないので、消化酵素が節約できるのです。

酵素の性質②基質特異性

酵素には基質特異性という性質があります。

研究が進み今では1万種類以上と様々な種類が見つかっている酵素ですが、一つの酵素は一つの働きしかしません。これが基質特異性です。(英:Substrate specificity 特異性基質と訳される場合もあります。

例えば、肉を分解するための酵素は肉しか分解しませんし、魚を分解する酵素は魚しか分解しません。さらに細かく言うと、牛肉は牛肉、豚肉は豚肉、鶏肉は鶏肉と、細かい分類で一つの仕事しかしない、職人のような性質があります。

この性質により、一度にたくさんの食品を摂取するとたくさんの種類の酵素が必要となり、消化に時間がかかるのです。そのため、スムージーを作る際も「食材はシンプルに」しています。

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その他の酵素の特徴

酵素とはアミノ酸であり、温度変性や基質特異性の他に、酸に弱い分子が大きいといった特徴もあります。

このような酵素の特徴を知ると、生活のなかで消化に負担をかけない食事を美味しく食べるには何を選べばいいか、酵素を取り入れるために何を基準にすればいいか、意識して選択できるようになります。例えば、野菜は体にいいいけれど,酵素も一緒に摂取したいと思ったら温野菜よりも生野菜たっぷりのサラダを選ぶ、ピクルスよりも野菜スティックを選ぶなどです。

この「選択」の積み重ねが「ずっと健康でいられる食スタイル」をつくっていきます。

Lesson2-3 まとめ

  • 酵素は「熱に弱い」という性質を持つ。その変性温度は48℃である。
  • 酵素は「基質特異性」を持つ。そのため一度にたくさんの食品を取ると消化に負担がかかる。

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