Lesson4-2のダイエットの部分でも少し学んだ体内のホルモン。ホルモン分泌をコントロールすることは、ダイエットやアンチエイジング、健康を自分でコントロールできるようになる事と言っても過言ではないぐらい、大切なポイントです。
ホルモン分泌に関しての最初に押さえたいポイントは、様々な体内ホルモンは相互に関係し合い、密接に関わっているという事です。特定のホルモンが出ないと次のホルモンが分泌されない、このホルモンが分泌されることでこのホルモンの分泌を促すなど、全て繋がっています。
ホルモン分泌コントロールで、美と健康をコントロールしていきましょう。
ダイエットに関わるホルモン
ホルモンの分泌を知ると、今までどうしても抑えられなかった食欲も減らなかった体重も、コントロールしやすくなります。それくらい、ダイエットにおけるホルモンの関わりは重要です。
痩せるホルモン
レプチン・・・食欲調整ホルモン
「痩せる」という意味のギリシャ語が語源のレプチン。これは脂肪細胞から分泌されるホルモンで満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防いだり、交感神経に働きかけて脂肪の蓄積を抑制、エネルギー消費を促す作用もあると言われています。
レプチンが分泌され始めるのは食事を始めてから20〜30分後。食事により血糖値が上昇し、脂肪細胞が刺激されることで分泌されます。そのため、早食い、どか食いをしてしまうと、満腹中枢が刺激される前に食べ過ぎてしまいます。これを防ぐためにも食事はゆっくりと味わって、よく噛んで食べる事がポイントです。
レプチンは脂肪細胞から出るホルモン、というと、太った方の方がたくさん分泌されそうなイメージが浮かびます。しかし、脂肪細胞が多い太った方は、レプチンを受け取る受容体が反応しにくくなってしまっているため、レプチンをうまく受け取れず、満腹の信号が脳に伝わりません(レプチン抵抗性)。
これを野球に例えてみると、常に剛速球のボール(大量のレプチン)が投げ続けられすぎて、受け取るキャッチャーミット(レプチン受容低)が壊れてしまったような状態です。
そのため、肥満の人はレプチンがたくさん出て「満腹ホルモン」が分泌されているにもかかわらず、受け取ることができずに食べ続けてしまう、その結果更に太る→更にレプチン受容体の感受性が鈍くなる→更に食欲抑えられず太る、という悪循環に陥りやすいのです。
肥満状態の人が更に太るサイクル「レプチン抵抗性」を改善していくには時間がかかりますが、規則正しい生活と体が喜ぶ食事、運動を取り入れていくことで脂肪細胞を減らし、食事量をゆっくりコントロールしていくことで改善は可能です。
ただ、短期間にダイエットをして体重を減らしたとしても、この食欲抑制作用はすぐには戻らないため、一定期間、痩せているけれどレプチンがきちんと受け取れない状況が続きます。この間にまた食欲のままに食べてしまうと、リバウンドしてしまうため、この仕組みを理解しダイエットが成功してもゆっくり食べる事を心がけてください。
ヒスタミン・・・満腹感UPホルモン
よく噛む事で脳に刺激が伝わり、分泌されるのがこのヒスタミンです。ヒスタミンも交感神経を刺激し、その信号が直接内臓脂肪に届いて脂肪を減らしてくれる働きがあります。
ヒスタミンと聞くと、アレルギーをイメージされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、ヒスタミンは、脳以外の部分で増えると、鼻水鼻づまりなどの症状やアレルギー反応を起こす物質でもあります。
しかし、脳を刺激することで脳内でヒスタミンが増える場合には、アレルギー反応が出る事もなく、ダイエットに強い味方のホルモンとなります。
反対に、ヒスタミン抑制物質の入った風邪やアレルギー症状を抑える薬を摂取すると、食欲が増進することがあります。これは体内でアレルギー反応を起こしているヒスタミンを抑えるとともに、脳内で分泌されている満腹感を感じさせる働きのヒスタミンまで抑制してしまうからです。
ヒスタミンについては様々な議論があり、ヒスタミンが含まれる食品である赤身の魚の多量摂取によりアレルギーが起こるという情報や、ヒスタミンが含まれている食材がダイエットに効く食品である、という情報など様々なものあります。
ダイエットに関した事でいえば、口から摂取したヒスタミンは脳には届かないため食欲抑制効果はありません。むしろ、アレルギー物質として働いてしまう可能性が高いと言われています。ただし、ヒスタミンの素となるヒスチジンの形で摂取すれば脳内ヒスタミン生成を助ける、という説もありますが、脳以外の部分ではアレルギー物質として働く可能性も十分に考えられます。
そのような事を様々考慮していくと、やはりよく噛むことが一番簡単で副作用の心配のない方法と言えるでしょう。噛むことは、それくらい重要な働きを担っています。
セロトニン・・・食べ過ぎ防止ホルモン
セロトニンは別名「ハッピーホルモン」「幸せホルモン」ともいわれ、心を落ち着けたりリラックスさせたりする効果があり、精神安定にも重要な役割を果たすホルモンです。そして、ダイエットのホルモンとしても重要で、実は満腹感を感じさせ、食欲を抑える作用も持ち合わせています。
セロトニンが脳内で減少すると、食欲が増進しいくら食べても満足できない状態になります。強いストレスでイライラするときに、甘いものやジャンクフードが食べたくなった経験をお持ちの方も多いと思いますが、これもセロトニンの分泌に関係しています。
セロトニンは精神安定作用と食欲コントロール作用を合わせ持っているので、不足すると「精神が不安定な状態」になるとともに、「食べたい!」という欲求がよく連動してやってくるのです。特に、甘いものやジャンクフードや肉類は一時的にセロトニンの分泌を増やす効果があるため、これらのものを欲するようになります。
女性は男性に比べて、セロトニンの脳内での合成が元々少ないと言われています。また生理前のPMS期には、セロトニンの受容を阻害する物質が分泌されるため、この時期は特にストレスの影響を受けやすく、情緒不安定、甘いものの過食などの傾向がおこりやすくなります。思い当たる方も多いのではないでしょうか。
このような「イライラ」と「食べたい」状態を落ち着かせるには、欲求のままに食べて一時的に紛らわせるのではなく、セロトニンの分泌量を増やして食欲を抑制することが効果的です。セロトニンの分泌を促す簡単な方法は、実はたくさんあります。
セロトニン分泌を増やす方法
- 朝太陽の光を浴びる
- 首のストレッチをする
- 一定のリズムのある動きをする
- セロトニンの原料となる食材を取り入れる
- リラックスできる香りをかぐ・・・など
朝太陽の光を浴びる
朝日を浴びる事のメリットは非常にたくさんありますが、セロトニンの分泌を促す事ができる点は重要なポイントです。朝起きたらカーテンを開けて、朝日を浴びてしっかり伸びをしてみましょう。
日焼けを気にして全く太陽の光を浴びない方もいますが、日中はある程度太陽の光を浴びることで、体内時計のリズムも整い、セロトニンがしっかり分泌されていきます。(日照時間の少ない冬や北欧などでは、冬だけ鬱症状を訴える方が急増するという話もあり、これも太陽の光を十分に浴びれないことでセロトニン分泌が減少する事が原因だと指摘されています。)
首のストレッチをする
首のストレッチをすることで、リラックスでき、脳が活性化します。頭の上に手をのせて、ゆっくり左右に倒してみましょう。ゆっくり呼吸をしながら、伸びを感じるストレッチがおすすめです。
一定のリズムのある動きをする
「一定のリズムのある動きをする」というのは、ウォーキングやジョギングなどの運動や、家事をするときにリズムをつけてやる、などが当てはまります。生活にも取り入れやすく簡単です。15分ほどでベータエンドルフィンというホルモンが分泌され、その後セロトニンの分泌が始まります。
しっかり回数を噛む事もリズム運動につながります。ヒスタミンの部分でも学びましたが、噛む事のメリットは本当にたくさんあります。
セロトニンの原料となる食材を取り入れる
食べ物とでいうと、セロトニンの分泌のために取り入れたい食材は、セロトニンの原料となるトリプトファンなどの必須アミノ酸が含まれてるものです。これは動物性タンパク質に多く含まれますが、バナナや大豆、そば、セロリなど、植物性の食材もありますので、ぜひ取り入れていきましょう。
リラックスできる香りをかぐ
リラックスできる状態になることもセロトニン分泌には大切なポイントです。セロトニン分泌のためにおすすめの香りは、ラベンダーやローマンカモミールなどリラックス効果があるものです。
セロトニンがしっかり分泌されていると、夜には質のよい睡眠のために必要なメラトニンというホルモンの分泌も充分に行われます。夜の早い時間にしっかり熟睡していることで、ダイエットに重要なホルモンの分泌にもつながります 。
次Lessonで、太るホルモンとダイエット&アンチエイジングホルモン についても学習しましょう。




