前Lessonでは基本のルールを学習しましたが、これをしっかり修得することで、格段に効果がアップするピュアスムージーが作れるようになります。ここでは、ピュアスムージーを作り継続していくために必要なことを理論から理解できるように、作り方の応用ルールを学習していきましょう。
自己流のスムージーでは、取り入れ始めた最初の時期は効果が得られても、途中から停滞するということがよく起こります。また、食材の組み合わせや取り入れ方によっては予期せぬ悪い影響が出る場合もあります。
それにもきちんと理由があります。 大切なことは、ずっと健康でいられる食習慣を作ること、そのためにおいしく継続できることです。習慣にしていくために必要なポイントを学んでいきましょう。
さらに効果を高めるための、作り方の応用ルール
- 取り入れるグリーンは、毎日異なる種類を使用しローテーションさせる
- 1週間に2.3回はカラーのスムージーを取り入れる
- 取り除いた方がいい種や皮など、フルーツの使い方を理解する
- でんぷん質の多い食材は、朝のスムージーには使用しない
①取り入れるグリーンは毎日異なる種類を使用し、ローテーションさせる
グリーンの葉野菜をスムージーにする際、まず最初に押さえておきたいのはアルカロイドについてです。
アルカロイドとは
ほとんどの野菜には微量のアルカロイドという成分が含まれています。ピーマンの苦味やほうれん草のえぐみ、これがアルカロイドです。植物が自己防衛のために保持している微量毒素で、野草などはこのアルカロイドの含有量が多いため、多量に摂取すると中毒を起こす場合があります。カフェインやモルヒネもアルカロイドの一種です。
現在食用になっている野菜や葉野菜に含まれているアルカロイドの量は微量であり、適量を摂取することで体によい影響を与えてくれます。しかし、大量に摂取したり、特定のものだけを長期間取り続けると、体内に特的のアルカロイドが蓄積することで体に何かしら不調が出る可能性もあります。(結石ができやすい体質の方は、ほうれん草のシュウ酸による結石ができやすくなる、甲状腺に不調がある方はアブラナ科のアルカロイドに反応しやすい、など。)
といっても、ポイントを押さえて通常量を摂取している場合には、影響はほとんどありませんのでご安心ください。これらの影響を避けるために、グリーンはできるだけローテーションし特定のグリーンばかり使用しないというポイントを押さえておきましょう。大量に特定のアルカロイドを摂取すると危険な場合もありますが、1日グラス1.2杯程度のグリーンタイプのスムージーであれば、葉野菜をローテーションさせていれば心配する必要はありません。
グリーンのアルカロイドは「科」による分類でローテーションする
葉野菜のアルカロイドは、分類される「科」によって特徴が似ており、同じ性質を持つものを継続して摂取し続けると、体内に蓄積、影響が出る可能性が高くなります。
下の表を参考にいろいろな「科」のグリーンを使ってみましょう。
それぞれに効能や独特の風味もあり、一言で葉野菜といってもたくさんの楽しみ方ができます。

ローテーションの具体的な方法として、毎日異なる葉野菜を用意することが困難な場合には、1週間に3種類ほどのグリーンを使用するのがおすすめです。3種類を連続して使用することがないように、組み合わせを工夫してみましょう。
例えば、ほうれん草、小松菜、パセリを下記のように用いてみましょう。
- 1日目:ほうれん草
- 2日目:パセリ
- 3日目:小松菜
- 4日目:ほうれん草
- 5日目:小松菜
*1週間のうち、1~3日程度はカラースムージーを取り入れる日を作ります。
*連続してグリーンタイプのスムージーにする必要はなく、3日目にカラースムージーを取り入れた場合には、①ほうれん草②パセリ③カラースムージー④パセリなどになっても大丈夫です。
旬の野菜をうまく取り入れて、上手にローテーションしていきましょう。
アブラナ科の野菜について
アブラナ科の野菜は栄養価が高くカルシウム含有量は群を抜いています。その一方で甲状腺に影響がでる物質が含まれているため、生での大量摂取は好ましくありません。(アブラナ科の葉野菜は、チンゲンサイ、菜の花、小松菜など。スムージーには使用しませんが、ブロッコリーやカリフラワー、キャベツなども含まれます。)「ローテーションさせる」というポイントを押さえて上手に取り入れましょう。特定の大量摂取さえ避ければ、スムージーにもおすすめの食材です。
②1週間に1〜3回はカラーのピュアスムージーを取り入れる

ピュアスムージーの大きな魅力の一つは、カラフルなカラースムージーです。
自分の好きな色のスムージーを朝から取り入れる事は、心にもとてもいい影響を与えます。色彩心理学やカラーセラピー、ラッキーカラーなど、色は心身に与える影響が大きいとされています。また好きな色を見ることは、ハッピーホルモンと言われるセロトニンの分泌を促し、リラックス効果も期待できます。
果物を中心につくるカラーピュアスムージーは、グリーンの食物繊維とは性質のことなる食物繊維が豊富に含まれているので、今までスムージーを取り入れても便秘が解消されなかった方にもおすすめです。先ほど説明したアルカロイドの影響を軽減させる意味もあるので、週に1〜3回のカラースムージーを取り入れるようにしましょう。
※ダイエット効果を求める場合には、果物の使用量が多いカラータイプよりも、グリーンタイプを多く取り入れるほうが効果的です。体と向き合いながら、自分の体が求めるものを取り入れていきましょう。
③取り除いた方がいい種や皮など、フルーツの使い方を理解する
果物の皮にはファイトケミカルが含まれているため、丸ごと使用するのが基本です。ただ、果物によってスムージーに使う際のポイントがあります。
種について
キウイやトマト、イチゴやブルーベリーなど小さな種はそのまま使用します。スイカやぶどう、オレンジやグレープフルーツなどの大きな種には消化に負担がかかる「酵素抑制物質」含まれているため、しっかり取り除きます。りんごの種も取り除きましょう。(酵素抑制物質については後ほど詳しく学習します)
皮について
オレンジやグレープフルーツの外皮には毒性物質が含まれている可能性があるため、(輸入品にはポストハーベストの心配もあります)使用しません。ただし、薄皮や白い綿の部分には便秘解消に役立つペクチンや、抗酸化力のつよいバイオフラボノイド、ビタミンCがふくまれているので、苦味が気にならない場合はそのままスムージーに入れるのがおすすめです。
レモンや、ユズ、ライムなどの外皮は国産、無農薬のものならそのまま使用可能です。海外からの輸入品の場合は、防腐剤や防カビ剤を使用している可能性があるので使用しません。また、旬の時期の国産無農薬のキウイは、皮ごとそのままスムージーにできます。チクチクしている毛をよく洗い皮のまま入れてみましょう。栄養価も高くおすすめです。
皮ごと使用する場合は、安心できる栽培方法のものを使用する、もしくは野菜用の食品洗剤でしっかり洗いましょう。界面活性剤が入っていないものがおすすめです。
④でんぷん質が多い食材は朝のスムージーには使用しない
朝はデトックスの時間!
時間帯による生体サイクルについては後ほど詳しく学習しますが、まずこれだけは最初に覚えておいていただきたいのは、朝は排泄のための大切な時間だということです。
体の仕組み上、朝からしっかり食べてしまうと消化に負担がかかり、消化のためにエネルギー使用する必要があるため、排泄、デトックス機能をうまく働かせることができなくなります。これでは、細胞内に老廃物がたまり腸も不要物でいっぱいになってしまいます。
朝は消化にエネルギーを使わない事が美腸をつくるための大切なポイントであり、そのために取り入れて欲しいのが消化に極力負担をかけないピュアスムージーです。
消化に負担がかかる野菜を避ける
野菜にも様々な種類があり、実は消化に時間がかかる野菜もあります。でんぷん質の多いものは他の野菜や果物に比べて消化に負担がかかるため、朝のスムージーには使用しません。また、他の食材との消化のスピードが異なる点から、基本的に他の材料と合わせてスムージーに使うこともしません。(例:りんご、オレンジ、人参といった組み合わせはしない)
もしでんぷん質の野菜を摂取したい場合は、他の食材と組み合わせたスムージーにはせず、サラダや単体で午後に取り入れるようにしましょう。
でんぷん質が多い野菜
- 根菜類・・・人参、カブ、大根など
- 葉野菜類・・・白菜、キャベツなど
- その他の野菜・・・オクラ、アスパラガス、トウモロコシ・・・など
にんじんを使用する場合の注意点
生絞りのジュースやスムージーに使用される事が多いにんじんですが、アスコルビナーゼというビタミンCを破壊する酵素が含まれています。撹拌すると酵素が活性化するため、せっかくのスムージー内のビタミンCを破壊してしまう可能性があります。また、人参は根菜ででんぷん質を多く含むため、これらの理由からスムージーには使用しないのが基本です。
もしどうしても使用したい場合は、レモンなどを少量絞り、アスコルビナーゼの効果を弱めましょう。酵素は酸に弱いという性質を応用しています。また、加熱すればこの酵素の働きもなくなるため、人参スープなど加熱調理する場合は気にする必要はありません。
人参は葉の部分も同様にアスコルビナーゼが含まれているので、使用する場合には同じ処理をしましょう。
トウモロコシは単体でスープタイプのピュアスムージーに
夏に旬を迎えるトウモロコシは、生で食べられる品種も増えてきました。生のトウモロコシを使ったスープスムージーは格別です。ぜひ夏のお昼の一品として取り入れてみてください。
その際には、上記で抑えたポイントを活用し、他の食材とは合わせないようにしましょう。トウモロコシ単体で使用します。
「誰にとっても100点の食べ物」があるわけではなく、「絶対に悪い食べ物」があるわけでもない
ここまで学習してきた作り方の基本ルールや応用ルールでは、使用に注意が必要な食材、スムージーには使用しない食材とその理由をご紹介しました。
ここで大切なことは、「誰にとっても100点の食べ物」があるわけではなく、「絶対に悪い食べ物」があるわけでもないということです。
体や食材の本質を理解し、その性質を活用できるように工夫すれば、最も効果的な形で様々なメリットを得ることができます。反対に、理解しないまま流行やみんながやっている方法を行っても、本質を理解しないままでは、自分の体には合わない場合もありますし、効果が得られない場合もあります。
それはその方法やモノ自体に悪いわけではなく、本質を理解していないことに原因があるのだと考えてみましょう。本質を理解すれば応用は自由自在、あなたにとってもベストチョイスができるようになります。
スムージーの食材についても、健康的な人がピュアスムージーを取り入れる際には、アルカロイドなどの影響もそこまで神経質になる必要はありませんが、本質や食材の性質を知っておくことはとても大切です。使用する食材や摂取量など、盲目に偏らないバランス感覚を持ち、大切なポイントを押さえて、おいしく、楽しく、素敵なスムージーを作りましょう。
Lesson1-5 のまとめ
- 作り方の応用ルール4つを押さえることで、より効果的なスムージーを習慣にしていくことができる。
- 大切なのはバランス感覚であり、「100点の食べ物があるわけではなく、絶対に悪い食べ物があるわけでもない」という事を知り本質を理解する。




